刺さない鍼
投稿日:2019年02月22日
こんにちは
横浜 旭区 希望ヶ丘のうさぎ鍼灸整体院のタテノです!
鍼は「刺すもの」「痛いもの」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、
実は刺さない鍼もあるんです。
一般的な鍼
日本の鍼灸治療で主に使われているのは「毫鍼(ごうしん)」というものです。
長さ、太さ、材質は商品によって様々ですが、
一般的には髪の毛くらいの細さのやわらかいものが主流です。
使い捨ての鍼はステンレス製が多く、
他にも銀や金でできたものもあります。
当院では国産のステンレス製の使い捨てで、
長さは3cm~6cm、太さは直径0.12mm~0.25mmのものを
部位、体格、体質によって使い分けています。
これらの鍼を使って、基本的には刺す刺激を行っています。
場合によって、刺さないでこするような刺激を行うこともあります。
刺さない鍼
刺す鍼が主流ですが、
一方で刺さない鍼というのもあるんです。
皮膚に当てるだけのもの、
皮膚の上を転がすもの、
皮膚をこする、なでるようなもの、
などです。
どんな時に使うかというと、
鍼を刺されることに恐怖心がある方、
刺激に敏感な方、
子ども、
痛みを感じやすい部位、
経絡(気の通り道)の流れを意識した刺激、
などです。
特に子どものかんしゃく、夜泣きなどに
首の後ろ~肩先~肩甲骨のひし形エリア(下のイラストの赤い囲い)を鍼でこするように刺激すると落ち着きがでるといった効果もあります。
痛みは全くありませんし、
施術中に子どもが不意に動いてしまったとしても、刺していないので鍼が曲がったり折れたりという心配は皆無ですので、安全に行えます。
※効果には個人差があり、効果・効能を保証するものではありません。
(ご自宅で保護者の方が行うには、
スプーンの丸い背の部分でこすってあげると効果的です!お試しあれ!)
刺さない鍼:てい鍼
当院で扱っている刺さない鍼は
「鍉鍼(ていしん)」というものです。
これは一方の先端が丸いもの、
もう一方がやや尖っているものです。
ピンポイントで刺激を入れたい部分には尖っている方をツボに当てたり、
もう少し柔らかい刺激にしたい場合や広範囲で刺激をしたいときには丸い方を当てたりします。
私が自分自身に使うことも多く、
それは爪の際の井穴(せいけつ)というツボを刺激して、自律神経を整えています。
井穴刺激で自律神経を整える
井穴というのはツボの名前ではなくて、
経脈(内臓につながっているツボのルート)の出るところと言われていて、
そのルート全体を統括しているツボです。
例えば、肺に通じるルートの井穴は手の親指の爪の際、外側にあります。
膀胱に通じるルートの井穴は足の小指の爪の際、外側にあります。
こういった具合に手足の爪の際に12カ所井穴があります。
(図は「ツボ単」NTS発行より。
このイラストの中の井穴は、
至陰、足竅陰、厲兌、大敦、隠白です。)
この井穴を刺激すると自律神経が整うと言われています。
井穴刺絡と言った、井穴に鍼を刺して出血させる(しゃ血)というやり方もあるのですが、
法律上、鍼灸師が出血させる行為をしてはいけなかったり、
(意図的ではなく、結果的に出血しちゃいましたはOK)
衛生上の問題もあって、あまり積極的に行われているやり方ではありません。
そして井穴(爪の際)は刺激に敏感な部位なので、
鍼を刺すのは痛みを感じる場合が多いです。
ということで、
刺さない鍼(てい鍼)でぐっと押すように刺激するのが適していると考えて行っています。
井穴刺激での私自身の効果の実感としては、
冷えを感じにくくなったり、
深くリラックスができるようになったり、
というところです。
※個人の感想であり、効果・効能を保証するものではありません。
てい鍼が手元になくても、
つまようじのお尻(とがっていない方)で押したり、
米粒を貼ったり、
といった刺激でも十分ですので、
自律神経を整えたい方は取り入れてみてください。
自家製の刺さない鍼
この当院で使っているてい鍼の写真。
なんとこのてい鍼、自家製なのです!!
専門学校の授業で、銀の棒をやすりで削って作りました。
(と言っても、器用な方に手伝ってもらっての完成です…(笑))
自分で作ったとなると愛着がわきますね。
これからも大切に使っていきます。
特殊な鍼 番外編
刺す鍼と刺さない鍼のどちらに分類するか迷うところなのですが、
置き鍼と言って、短い鍼をシールで固定して持続的にツボに刺激を与えるというものもあります。
(丸いシールの真ん中にチョンと鍼がついているのが分かりますでしょうか)
当院で扱っている置き鍼は、なんと0.6mmの短さ。
その短い鍼がついたシールをツボに貼ると、
刺さったことがわからないと言われる方がほとんどです。
そのくらい刺激が少ない方法ですが、
貼りっぱなしということでの持続刺激で十分な効果が得られます。
こりの強い部分に貼ったり、
乗り物酔いの予防に貼ったり、
血流をよくする目的で貼ったり、
と長時間の効果を期待して置き鍼を用いています。
鍼に興味はあるけれど、
刺されるのが怖い方、
刺激に敏感な方には刺さない鍼を使っての施術ができます。
一度ご相談ください。