男性不妊講演会
投稿日:2018年01月14日
こんにちは
横浜 旭区 希望ヶ丘のうさぎ鍼灸整体院のタテノです!
昨日は横浜市開港記念会館で行われた、
横浜市が開催する男性不妊講演会に行ってきました。
講師は、横浜市立大学付属病院市民総合医療センター、生殖医療センター部長の湯村寧先生です。
不妊症の原因や現状、治療など、データをもとに知ることができて、とても有意義な学びとなりました。
不妊症の原因の割合
不妊とは正常な性生活を1年続けても妊娠しない状態です。
現在は生殖年齢にあるカップルの6組に1組の割合で不妊であると言われています。
2014年のヨーロッパでのデータですが、不妊のカップルのうち
男性のみに原因があるのは20-30%
女性のみに原因があるのは20-35%
男女ともに原因があるのは25-40%
原因不明が10-20%
だそうです。
つまり不妊カップルの半分は男性にも原因があるといえます。
精子の数・質、加齢による影響
精子の数が少ないほど、精子のDNAが壊れている割合が高くなるというデータがあります。
DNAが壊れているというのは、精子の質が悪いということです。
精子が1個あれば妊娠は可能といわれることもありますが、
1個しかない場合は、精子の質が悪いことが考えられますので、
男性不妊の治療では、精子の数を増やすこと・精子の質を上げることの両方が目標となります。
また、男性は何歳になっても子どもを作れる、という認識があるかもしれません。
しかし加齢とともに精子の数、運動率、正常形態率は低下し、逆にDNAの壊れている率は高くなります。
男性でも加齢による影響はあり、自然に妊娠する力は落ち、
年齢が上がるほど妊娠までの期間が長くなる、と言われています。
一人目の子どもができたのち、二人目を希望してもなかなか授からないときには、
男性の「精子力(精子の数や運動性を含めたもの)」が低下している場合があるかもしれません。
「精子力」は男性全員が年齢によってガクッと低下するわけではなく、人によって低下の程度は差があるようです。
男性不妊の原因疾患
男性不妊の原因は大きく4つに分けられます。
①精巣自体の問題(造精機能障害、精子を作れない)
②勃起障害(ED)・射精障害
③精路の異常(通路の閉塞により精子が射出できない)
④精子自体の問題(運動していないなど)
このうち①の精巣自体の問題が一番多く82%を占め、
このうちの半分は原因不明、
30%は精索静脈瘤によるもの、
その他はホルモン異常や停留精巣、染色体異常などが原因です。
男性不妊の診察・検査・治療
男性不妊外来では、
問診、診察(触診・視診など)、精液検査、採血によるホルモン検査、エコー検査などが行われます。
精液検査は、所見の変動は激しいので、1回の検査では判断ができないため、
3か月以内で最低2回行って、傾向を把握します。
エコー検査では精索静脈瘤の有無、血流(逆流)を確認します。
原因ごとに治療法は様々ですが、
一般的に治療は、
薬物療法(ホルモン剤、漢方薬、ビタミン剤など)
手術療法(精索静脈瘤手術、精巣内精子回収術、精路再建術など)
生活指導
が行われます。
精子が作られるのには2か月~2か月半くらいかかりますので、
造精機能障害の場合、最低でもその期間は内服を続けて、効果を判定していきます。
内服により約半数は精子濃度や運動率が改善し、その後妊娠に至るなど、
治療成績は良好だそうです。
内服で効果がないときは、別の薬に変えたり、精索静脈瘤の手術が必要であれば手術を行います。
(手術の傷は小さく、身体的侵襲は小さいです)
無精子症の場合は精巣内精子回収術を行い、精子を回収できれば、体外受精(顕微授精)を行います。
男性不妊患者に対する生活指導
禁煙(体内の酸化ストレスを減らす)
禁欲期間を短縮(長くためると精子のDNAは壊され質が落ちる)
精巣を温めすぎない(きつい下着やズボンははかないなど)
育毛剤は注意(脱毛は男性ホルモンが多すぎて起こる。育毛剤は男性ホルモンを抑える薬。男性ホルモンを抑えると精子に影響が出る)
肥満改善(肥満はEDのリスクになる)
適度な運動(適度な運動を行うと、不動精子の割合が減少する=動く精子の割合が増える)
食生活改善(バランスよく食べる。抗酸化物質(ビタミンE、リコピン、βカロチン、カテキン、ポリフェノールなど)を積極的にとる)
精神的ストレスの軽減
電磁波対策(現時点では電磁波が不妊に影響があるとはまだはっきりとは解明されてはいないが、対策をした方がいいかも…)
生活習慣改善もとっても大事です!!
医療に望むこと
不妊カップルへのアンケートによると、医療(医療者)に望むこととして
医療技術による治療以外にも、
話を聞いてもらうことや
生活指導
という項目の割合が多かったそうです。
望むことを知って、それに一生懸命応えていくのが医療者の役目だとひしひしと感じました。
不妊は二人で乗り越える
不妊の原因が男女にあるにせよ、どちらか一方にあるにせよ、原因不明であれ、
子どもをほしいと思う気持ちを二人で共有して、
それに向かって一緒に行動していくことが大事だと考えます。
当院に妊活目的でいらしているのは女性ばかりです。
ご本人のお話をよく聞くのはもちろんのこと、
パートナーである男性のことも詳しく教えてもらいます。
(妊活についてどのように考えているか、実際にどう取り組んでいるか、仕事、体格、趣味、生活習慣など)
中にはパートナーがあまり協力的でないという方もいらっしゃいます。
心の内を話してもらうことで、不安解消・ストレス発散をしてもらったり、
パートナーへの声のかけ方や接し方を一緒に考えたりもします。
そして来院されるクライアントさんだけでなく、パートナーの男性に対するアドバイスや、
自宅で二人で行うケア(ストレッチやお灸)指導などにも力を入れています。
そして、一番のポイントは
妊娠・出産を経て、赤ちゃんを抱っこしている「家族写真」をイメージして施術しています!!
医療のサポートを受けつつ、
自分たちでも生活改善をして、
妊娠・出産して家族が増えるといいですね。
今回の講演会に参加して男性不妊についても知識を得たので、
この分野についてもお話ができます。
お気軽にご相談ください (^^)