舌の状態で健康チェック!
投稿日:2018年05月21日
こんにちは
横浜 旭区 希望ヶ丘のうさぎ鍼灸整体院のタテノです!
当院ではお体をみさせていただくのに、
体の動きや筋肉・関節の状態だけでなく、
脈・腹・舌の状態もチェックして、
体質・体調判断をしております。
今日のブログは舌の観察について書いていきます。
舌を観察する理由
舌は中医学(東洋医学)では「胃の鏡」「心の苗」「心は舌に開竅する」などと言われ、
(専門用語で難しい表現だと思いますが、ここでつまづかない様に軽く読み飛ばしてもらって大丈夫です!)
体内の状況が舌上に反映するとされています。
舌を観察することを舌診といい、
内臓の虚実、
病邪の浅深(病気の進行具合)、
生命力・回復力の程度
などを客観的に捉えることが可能であることから、とても重視されている診察法なのです。
経絡(けいらく)という路線図を通じて、体表と体内(内臓・器官)がつながっていて、
舌もつながっているため、連絡する路線を通じて全身の体内の状況が舌上に表れて、
それを見て取って全身状態を把握するというわけです。
体の状態がリアルタイムに舌に反映されるので、
本人がまだ自覚をしていない不調がある場合も、
舌の変化で体調を把握できるため、
「未病治(みびょうち)」と言って、
病気になる手前で対応でき、予防につなげることができるのです。
舌診の方法、ポイント
舌を観察する際、気をつけたいのがその方法。
力が入っていたり、長く出しっぱなしにしていると、きちんと状態を把握できません。
ですので、口を開けて自然にベーッと出してもらい、おもて側を素早く観察します。
そしておもて側を見た後は、舌の先端を上あごにつけるようにクルっと丸めてもらい、
裏側も観察します。
舌の観察ポイントは
形・色・苔の状態、裏の血管です。
健康な時の舌の状態
舌から体内の状況を読み取るためには、
まずは健康な舌の状態を知っておく必要があります。
健康で正常な状態の舌は、
形は大きくもなく、痩せて薄くもなく、
色は淡紅、
苔は薄白、湿り気が適度で、拭いても取れない、
筋肉の動きは柔軟、
舌の裏の血管は、暗紅色で、枝分かれやふくらみ、弯曲はなく柔軟
という状態です。
これに当てはまらない場合は、体内で何かしらのトラブルが起きており、
それが舌上に反映されているということです。
鏡の前で、自分の舌を観察してみて、いかがですか??
上記の状態でしょうか??
もう少し細かく書いていきます。
舌の形
形は大きすぎず、小さすぎずというのが健康な状態です。
ぼてーっと大きくなっている時は、体に余分な水分がたまっている証拠、
小さくて、痩せている時は、体のエネルギーや血液が足りない証拠です。
また、詳しくは省略しますが、
舌の縁が凸凹していたり、
表面に溝・亀裂が入っていたり、
トゲやブツブツがあったり、
左右どちらかに偏っていたり、
というような場合は、健康状態から一歩逸れてしまって、
内臓にトラブルを抱えている状態であると言えます。
舌の色
健康な状態の舌の色は、淡紅色です。
割と明るいピンク色のような感じです。
それに対して、
血色が少なく白っぽかったり(エネルギー・血液不足や冷え、血液を巡らせる力が弱い)、
真っ赤な紅色だったり(体に熱が盛んな状態)、
紫や青紫色だったり(血液の滞り)、
という状態は要注意です。
舌の苔
舌苔(ぜったい)からは、からだに対する病気の強さと進行状況を読み取ることができます。
苔の色、厚さ、潤燥、分布をみていきます。
正常な苔の状態は、薄く白くついていて、湿り気は適度の状態です。
・苔の色
白色・黄色・灰色・黒色に分類されますが、
色だけで判断できるものではなく、
同じ白色だったとしても、
薄いのか厚いのか、
湿っているか乾いているか、べっとりついているのか、
というところで、
体内の不調の何を表しているのかが異なりますので、
それらを総合的に判断していきます。
大まかに書くと、
白色は冷え、病の初期、
黄色は熱、体内の炎症、病の進行、
灰色は白・黄色よりもさらに病が進行したもの、体内の深いところにトラブルが生じているもの、
黒色は灰色よりもさらに進行したもの、病状が重い、
と言えます。
白色の苔の場合は、一般的に治り(回復)が早いですが、
黒色の苔の場合は、治療効果が表れにくい、予後が良くないということになります。
・苔の厚さ
苔が薄い場合は、生命力がしっかりしていて、病気も軽い状態、
苔が厚いのは病気が重いと言えます。
また経過として、
厚い苔が薄くなっていけば症状が軽くなっていく傾向にあることを示していますし、
逆に苔がだんだん厚くなるようだと症状が進行して重くなっていく傾向にあることを示します。
・苔の潤燥
口を開けた時に水がこぼれ落ちそうになるくらいな舌は、水分代謝のトラブルを表しています。
ベトベトした感じのものは、胃腸の働きがうまくいかずに体内に余分な水分がたまっていたり、消化不良の状態です。
これが続くと、体にたまった余分な水分が熱を生み出し、豆腐の食べかすが積もった感じの苔になります。
逆に乾燥している苔は、体内の水分不足の現れです。熱で蒸発してしまった場合や、下痢等で水分が大量に奪われた場合に見られます。
・苔の分布
舌全体に苔があるのか、一部分なのか、ある部分だけが剥がれ落ちているのか、
その部分によって体のどこにトラブルが生じているのかを把握します。
先端に苔が偏っている場合は、胃の働きが弱くて病気が体内の深くに入り込んだ状態だったり、
根元に苔が偏っている場合は、病が深く入り込んだものが改善される傾向にはあるものの、まだ胃にトラブルが残っている状態だったり、
中央に苔が偏っている場合は、胃腸の働きが鈍く、余分な水分を溜め込んでしまっている状態、
中央が薄く苔がなくなっている場合は、胃の本来の熱や腎の水分が不足している状態もしくはエネルギーや血の損傷をきたしている状態だったり、
苔が左右に偏っている場合は、病が体表と内臓の中間にある状態や、肝(肝臓)や胆(胆のう)に熱がこもっている状態、
と言えます。
だいぶややこしくなってきましたね……
(読むのが大変になってきちゃいましたよね…)
もう一息!
舌の裏の血管
舌の裏を見ると左右で縦に2本、線が見られます。
これは舌下静脈(ぜっかじょうみゃく)という血管です。
この血管が暗紅色で、枝分かれやふくらみ、弯曲がなく柔軟な状態が正常です。
この血管が青紫色、または白っぽい色で
形が弯曲していて、ピーンと緊張して張っているものは瘀血(おけつ)といって血液の滞りを表しています。
青色で形が柔らかく細いときはエネルギー不足による血の滞りが起きている状態で、
紫色で形が膨らんで拡張していたりする場合は、エネルギーも血も滞っている状態、
青色または淡紫色で形がまっすぐでピーンと張っているものは冷えによる血の滞りが起きている、
という状態です。
女性はこの血管がぷっくり膨らんでいる方が多いです。
エネルギーも血液も滞っている状態です。
イライラして、生理不順があったり、頭痛、手足末端の冷えなどを訴えたり、不妊でお悩みの方によくみられます。
ここまでずらーっと書いてきましたが、
まずは、健康な状態の舌を頭に入れ、
それと異なる場合は、
トラブルが起きているという程度の把握で構いません。
来院時に私が専門的に診て、わかりやすく説明していきます!!
客観的に、総合的な体質判断
ここまで舌の観察について書いてきました。
舌から得られる情報はとても重要です。
そこに脈やお腹、皮膚の状態、問診で聞いた内容を合わせて、
総合的に体質を判断し、
治療ポイントを見つけていきます。
実際の舌の変化
こちらの写真は同じクライアントさんの舌です。
初回(①)
二回目(②)
三回目(③)
です。
初回と二回目の比較では、
形が変化(縁の凸凹がなくなった)していますが、
しかし苔は厚くなっています。
副鼻腔炎を起こしているのか、眉間、目の奥の痛みが出ていました。
二回目と三回目を比べると、
苔がだいぶ薄くなっているのがわかります。
眉間、目の奥の痛みは軽くなる時もあるものの、痛い時もあり、波があるそうです。
苔が厚い→薄いという変化は病が治っている段階の変化です。
自覚としての痛みはまだありますが、
舌の変化から体は治る経過途中であるというのが見て取れますので、
じきに痛みもなくなってくれるでしょう。
その話をしたら、安心されていました。
(効果には個人差があります。効果・効能を保証するものではありません)
痛みがある時は、このまま痛みが続くのか、もっと強くなるのか、と心配になりますよね。
舌の変化で、病状の進行・経過を把握できますので、
この先の見通しが立って、治る方向に進んでいることがわかれば、
安心材料になると思います。
また、舌の変化から進行していると見受けられる時は、十分な養生が必要だということです。
養生の方法、気を付けるポイントは、状況によって異なりますので、一人ずつに具体的にアドバイスしています。
毎日舌を観察しましょう!
時間もかからず、簡単に健康状態をチェックできる舌の観察。
ぜひ毎日鏡の前でチェックしてみてください。
ご家族でお互いの舌をチェックするのもいいですね。
まずは正常の状態を知って、
それと違っている場合は、その情報をキャッチして、
養生していけば、大病を起こす前に未然に防ぐことができます。
来院時に私が舌をチェックして、
現在の状況、養生のポイントをわかりやすく説明していきます。
当院は、痛みなどの症状が出ているところだけに着目するのではなく、
全身状態を把握して、健康維持・予防も含めてケアしていきますので、
健康に重きを置いて、自分の体に投資したいという方にはぴったりです。
末永くお付き合いできれば幸いです(^^)
長文のブログを最後までお読みいただきありがとうございました!!!
(このブログを書くのに、改めてテキストを見直し、私自身も勉強になりました。ありがとうございます!!)
参考:「舌診入門テキスト」丸山彰貞著、たにぐち書店